学習性無力感を回避、克服する方法を考える

皆さんは、サーカスに登場する像が、どのように飼育されているのかをご存知でしょうか。

サーカスの像は、生まれた時から鎖に繋がれたり、縄で縛られたりするのです。

もちろん自由を求めて抵抗をし続けますが、次第に抵抗しない大人しい像になっていきます。

これは「抵抗しても無駄」だということを学習するからです。

このように、失敗の経験を多く積まされて挑戦意欲を根こそぎ刈る事で、抵抗しない利口なサーカス像へとなっていきます。

この抵抗、挑戦意欲が全く生じない状態を心理学では学習性無力感と言います。

学習性無力感に関する実験

学習性無力感は1967年に、アメリカの心理学者であるセリグマンが提唱した心理学理論です。

セリグマンとマイヤーは、犬を用いた実験を行い、無力感が学習されるものであることを発見した。

電気ショックが流れる部屋の中に犬を入れ、一方の犬はボタンを押すと電気ショックが止められる装置のついた場所、他方の犬は何をやっても電気ショックを止められない場所に入れられた。前者の犬は、ボタンを押すと電気ショックを回避できることを学習し、自発的にボタンを押すようになったが、後者の犬は何をやっても回避できないため、ついには何も行動しなくなり、甘んじて電気ショックを受け続けるようになった。

犬は、自身の環境に対する積極的で自発的な動機付けを削がれ、成功体験を学習することが困難になりました。

この実験では「今度は成功するかも」といった期待が湧く可能性が著しく低くなることが指摘され、これは人間にも当てはまるという。

学習性無力感の恐ろしさ

千葉大学付近のアパートで起こった少女誘拐事件をご存知だろうか。

この事件が有名になったのは、少女が逃走成功するまでに、逃げ出すチャンスがいくらでもあり「なんでもっと早く逃げなかったんだ」という批判(笑)の声が殺到したからである。

少女は2年間監禁されていたわけだが、犯人はその間、1年にも渡って留学生活をしていたという。

さて、なぜ少女はアパートの一室から逃げださなかったのであろうか。

手錠も目隠しもされていない。家には誰もいない。拘束されておらず、今すぐ部屋を飛びだせる状況だった。

それでも少女が逃げ出さなかったのは、学習性無力感が働いていたからだと言える。

どこかで(おそらく大学の教授から)暴行や監禁によって学習性無力感が発生し、逃げる気力を失ったと聞いたのだが、検索して調べてみると「暴行を行った」とは明記されていなかったので、詳しくは書かないことにします。

要点を無理矢理まとめる

何度も試みを失敗することによって、人間は挑戦の意欲を失う。それは誘拐監禁されているような、命が危険に迫られている時も然りである。

学習性無力感を回避する方法

(ここからは親・塾講師目線でお届けします)

この記事を書いた理由はここにあります。

僕はとある塾で塾講師をしています。100人以上の生徒を見てきて感じることは山のようにあるのですが、勉強のできない子が持つ明確な共通点が一つ。

自己肯定感が低い。

「自分はどうせできないから。」

「やっても無駄だと思う。今までできなかったし。」

ハッキリ言って勿体無い。特にできない理由が「今までできなかったから」になっているのが本当に勿体無い。

さて、自分の子どもを学習性無力感の状態に追い込んでいないかを振り返ってほしいのです。また、これから家庭を作っていく方々にも覚えておいてほしいのです。

学習性無力感は一度生じると、なかなか克服することができません。

なぜなら「学習性無力感が生じている」ことに気がつくことすら難しいからです。

あんたはできない子ねぇ
なんでお前はそんなに勉強ができないんだ

子どもに上のような言葉をかけてはいませんか?

少しでも当てはまるなら、今すぐその口癖を直してください。

子どもの才能、可能性を奪っているのはもしかしたら貴方かもしれません。自戒も込めてね。

これに当てはまる方には以下の書をオススメします。1500円で才能を救うことができます。

そして子どもが「あの子はいいなあ」などと言い始めたら、注意が必要です。

なぜなら「あの子はいいなあ(私とは違って)」という風に自分を卑下するニュアンスが含まれているからです。

これは立派なマイナス発言です。自分で自分の才能を信じれなくなったらオワリです。そうなる前に我々大人は、子どもたちを救っていかなければなりません。

学習性無力感に陥っている子どもが自力でその状況から抜け出すのは困難極まりないことは、先ほどの誘拐事件の例で自明でしょう。

ですから、僕たちは常に発言を振り返る必要があります。可能性を支持し、プラスに持っていく努力をしなければなりません。

僕たちも日々成長ですね。

学習性無力感を克服する方法

学習性無力感を克服する方法はたった一つ。

成功体験を積ませる。

これに尽きます。

どんなに小さなことでもいい。できた。できる。そんな体験を積ませていきましょう。

数学ができないと思い込んでるなら、まずは小学校の足し算からでもいい。

英語ができないと思い込んでいるなら、まずは単語1個を覚えるだけでもいい。

そうやってできることを少しづつ増やしていってあげないと、僕らがやらないと誰がやるっていうんですか。

色んな人に「お前はダメだ」と言われて育ってきた自己肯定感のひっくい子どもを救うチャンスが僕たちにはあるわけです。

まさに人生を背負っています。

この前言われました。

成功体験を積むことが大切なのは分かった。確かに大事だ。だがやれているのか。本気でやってあの成績なのか。大金を払った親の気持ちをもう一度考えてみろ。

これらは、僕一人に向けられた言葉ではありませんでしたが、どこか行動のない理論厨になっていたのではないかと感じ、悔しく思いました。

この記事はそんな自分に向けた、レベルアップのファンファーレでもあり、忠告でもあります。

それでは。

Q.貴方は、人の才能を潰すような存在ではありませんか?

この問いに答えられなければ即買いをオススメします。

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